第1回懇話会の報告
充填技術センターの最初の懇話会が開催さ れた。講師および演題は次の通りである。
日時・場所:平成19年6月22日 中小企業振興センター(吹上会館)
演題:敵を味方につける地盤の補強法-性能表示された土のう(「本設土のう」)の活用-
講師:名古屋工業大学名誉教授 松岡 元氏
司会:充填技術センター理事長 川本 朓万氏
始めての懇話会だったこともあり、事務局の見込み違いが重なって参 加者が意外に少なかったことは残念であった。松岡先生のお話はきわめて興味深 いもので、従来の技術サロンと違って時間の余裕もあり、何人かの方が熱心に質 問されて懇話会の雰囲気を盛り上げてくださったのが収穫であった。またテーマ を提案して下さった太洋基礎工業(株)の小保方 聡氏には、資料の準備を始め 当日の幹事役など多くの面でお世話を頂いた。 以下、講演のなかの重要な点をご紹介する。内容については松岡先生の査読を頂いた。
1.土のうを活用した地盤補強の高架
長年実験を重ねて得た結論を現場の工事に適用した結果、土のうを地盤の補強に活用することにより、次のような大きな+アルファ効果があることが明らかになった。
1)「土のう」自体が信じられないほど大きな耐荷力をもつ(200~300kN)
2)交通振動や機械振動の低減効果、地震動の減震効果がある。
3)砕石入り土のうは凍上防止効果もある。
4)水浸・ヘドロ状態の地盤でも土のう周囲の“局所圧密”によりおさまる。
ここでは実験結果、適用事例により、このような効果が得られる理由について述べる
2.粒状材料(φ材料)が耐荷力の大きいc、φ材料に変身する。
粘着力cが0である粒状の材料が、土のうに包むだけできわめて耐荷力が大きいc、φ材料に変わることが、理論と実験によって明らかになった。
模型実験で使用したのは、直径1.6mm, 3mm、長さ5cmのアルミの丸棒を書道用紙で囲んで作った2次元モデルである(図-1)。これを3段に重ねて二軸圧縮試験機により破壊試験を行った結果をモールの応力円で示すと、φ材料であるアルミ丸棒が、c、φ材料の応力特性を示すことがわかる(図-2)。
また実物の「土のう」を使って耐圧試験を行った結果は次のようであった。砕石を入れた「土のう」の寸法は、それぞれ40cm×40cm×10cm(ポリエチレン製),38cm×30cm×8.5cm(耐紫外線ポリエステル製)である。
ポリエチレン製「土のう」 | 耐紫外線(土のう) |
230~280kN (1400~1800kPa) | 540~640kN (4700~5600kPa) |