3.調査結果と考察

図-3 ボーリング柱状図

3-1 ボーリング結果

 まず標準貫入試験併用のボーリング調査を陥没付近で実施した。ボーリング結果によると、地層は第三紀層の比較的良くしまった砂質土(N値20~40)が地表より深度19m付近まで分布し、その下位にN値50以上の固結粘性土及び亜炭が深度25m付近まで分布している。空洞は亜炭層下部に確認された。高さ約1.0m、空洞堆積土砂が30cmで、空洞内は水で満たされていた(図―3)。

3-2 空洞発生状況の推定

 柱状図に示すように、空洞上部の土質は非常に安定した状態で、緩みなどの存在は無くボーリング地点では陥没の影響は認められていない。また、既存資料の空中写真判読による立坑位置は陥没部分よりやや南西側に存在するものと推定される。
 この陥没の原因は、長年の間に、立坑閉塞のために埋め立てた土砂が空洞内に押し出され、立坑部分の上部に空隙が生じ、地表部まで空洞が上がってきたものと推察される。図―4に陥没発生状況を推定した模式図を示す。
 対策工法としては、立坑周りの空洞部分を充填し、将来、立坑部の土砂が流出しないようにすることが、地盤を安定化させるポイントとなると考えられた。

図-4 陥没発生状況の推定図
3-3 空洞状況と必要充填量の推定

空洞はボーリング結果で示すように高さ1m程度を有する完全空洞であり、以前の充填工事の影響も受けておらず、比較的広く分布しているものと推定された。
 充填必要量の推定は非常に困難であるが、立坑位置の周辺を対象に、おおよその範囲を想定した。また近隣で以前行なった実績より残柱式で採炭されていると考え、その空洞率・ロス率を用い充填量を推定した。
亜炭坑空洞部分の計画充填量は  
       V=対象面積×空洞高さ×空洞率×ロス率
        =370㎡×1.00m×70%×1.2≒310m3
 また、立坑内の充填量は立坑上部に存在すると考えられる空隙部分の量だけと推定され、それほど多いものではないものと考えられた。なお、陥没発生直後に緊急対策として砂を埋め戻していることから、立坑部分の充填量は数立米程度のものと推定された。